賃貸物件の都市伝説

少し前に宅建政治連盟の研修会に参加しました。内容は「調査・説明義務違反と宅建業者の民事上・刑事上・行政法上の責任」についてです。

いわゆる宅建業法35条1項「重要事項説明義務」、47条の1号「告知義務」について過去の事例を参考にした内容で弁護士の先生が講師を務めてくださいました。

参考ケースの1つに、「20年以上前の自殺についての調査義務・説明義務」があり、ここで取り上げさせていただきます。

「土地売買において、当該土地上にかつてあった建物内で自殺があった場合は、瑕疵なのか。当該土地が転売されている場合や、自殺の事実が古いものである場合には、瑕疵でなくなるのか。」

いわゆる事故物件と呼ばれるものですが、「所有者が替われば瑕疵ではなくなる」とか、賃貸であれば「賃貸契約で1名でも居住すれば事故物件の告知義務はなくなる」とか、「古い事案であれば瑕疵でなくなる」など、テレビ等で都市伝説の如く語られています。

事故物件の告知については、法律的な決まりやガイドラインがないため上記の様な都市伝説が出回ってしまいます。これについては判例がいくつかあり、居住目的の売買なのか、一時的なワンルームの賃貸なのか、または自殺か他殺かなどケース、バイ、ケースです。共通して言えることは「事故物件であることが、契約を締結するか否かの判断に重要な影響を及ぼす事実であるかが重要であり、宅建業者としては事故物件である事実を認識している以上は、契約前に告知すべき義務がある。」とされています。

ただし宅建業者としては、隠れた事故物件性については、その存在を疑うべき事情があれば、独自に調査して説明する義務を負うが、そうでない場合には、独自に調査をすべき義務までは負うものでないとの判例があります。

不動産は高額で一生に一度の買い物となることもありますので、購入の際には近所での聞き取りや、専門のサイトなどでの調査が重要となります。

 

山梨県で初の代執行

今月2日に中央市にて、県内では初の行政代執行による特定空き家の解体が行われました。解体したのは、西花輪の県道市川大門線沿いに建つ木造トタンぶきの空き家で、昭和61年ごろから住んでいた夫婦が相次いで亡くなり、以後空き家の状態でありました。中央市では、約90万円の解体費用を今後相続人を探し出し請求するとのことです。

特定空き家とは‥空き家のなかでも、(1)そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態。(2)そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態。(3)適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態。(4)その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態。

と漠然ではありますが定義されています。中央市の解体された空き家も庭木が高く伸び放題でうっそうと茂っており、家屋も半倒壊の状態でした。

「特定空き家」に認定されると、特定空家等該当通知書により所有者等に通知され、その後法の定める手続きに従い、「助言又は指導」⇒「勧告」(固定資産税等の住宅用地特例の適用が除外され税額が高くなる)⇒「命令」⇒「行政代執行」と実施されます。

甲府市では8月から市内約4千件の空き屋の危険度を調査していますが、9月には約10軒を「特定空き家」に認定する予定です。それに合わせて建物の撤去費用の助成制度を開始します。制度は所有者に対し撤去や廃材の運搬、処分にかかる費用の50%を補助するもので100万円が上限です。

これから空き家が増加してくることは確実ですが、取り壊す前に、空き家の購入補助や改修補助、移住・定住希望者等を対象とした活用策、福祉施設等への活用、空き店舗や空ビル等を活用した「リノベーションまちづくり」の推進、自治会など地域コミュニティの活動拠点や集会所など、地域の実情に応じた様々な活用策が必要ではと思います。